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1875ヴェネチアビエンナーレ建築展2010
Date: 2010-09-02 (Thu)

*ドイツ館で手に入れた"Bauwelt"33,2010の'Von tokyo nach venedig'特集。ぱらぱらめくっていたら、おっと、自分の写真に遭遇。しばらく前に、Vicente Gutierrez、Enrike Rabeが僕にインタビューしたときの記事でした。

ビエンナーレの会場を歩く。
・前回の建築ビエンナーレが道にも展示がはみ出る、にぎやかさだったのに対し、今年はおとなしい感じです。リーマンショック以後の経済状態も反映しているだろうし、妹島さんのミニマル、すっきりのテイストも大きい。アルセナーレでは、一部屋に作家一組なので、ごちゃごちゃした展示になりにくい。
・国別の展示では、精度の高い模型と明快なコンセプトで日本館は存在感を示し、建材をアートのように展示するベルギーは今年もセンスの良い内容で、ルーマニアは展示室いっぱいに入れ子状に大きなゆがんだヴォリュームを挿入し、不思議な空間体験。
石上チームに許可をもらい、柵の中に入れてもらう。かろうじて残る幾つかの柱は見えますが、それを四方から引っ張る糸は近付いても本当に見えない。光が直接当たる部分だけ、わずかにわかる。なんという構築物!
・今回の受賞者、アマチュア・アーキテクチャー(中国)はセルフビルド系のドーム、スタジオ・ムンバイは1/1のモックアップが並ぶ制作の現場、KERSTEN GEERS DAVID VAN SEVEREN(前回のベルギー代表)はセンスが抜群。『朝日新聞』の大西若人さんから取材を受ける。


1874KLMの機中で見た映画
Date: 2010-08-30 (Mon)

KLMの機中、ずっと映画を見た。
・日本未公開「KICK ASS」は、アメコミのヒーローに憧れるオタクが事件に巻き込まれる物語。が、彼よりも、ニコラス・ケイジによって殺人機械に育てられ、悪人をめった殺しにする女の子役がすごい(日本アニメの影響も大きく、キルビルのアニメパートのよう)。
・これも未公開だと思うが、ドキュメンタリー「VIDEOCRACY」は、前々から思っていた、なんでイタリアのテレビはあんなにヒドイの?、という疑問に応える。半裸のおねえちゃんたちばかりの画面になっていく起源、その仕掛人、有名になりたい青年、そして首相になったメディア王ベルルスコーニ
・見逃していた『ザ・コーヴ』も機内で見れた。この映画の主張、態度、手法などで賛同できない部分も少なくないが、映画としては退屈せず、過剰な演出もあり、おもしろくできている。公開を自粛せず、プロパガンダ映画として割り引いて見ればいい。大量のイルカの血で真っ赤に染まった海のシーンは衝撃。
・これも劇場に行けなかった『アイアンマン2』。パワードスーツが激突し、未来的な博覧会が舞台になり、ヘヴィメタルがかかるだけで楽しいので、馬鹿な映画でも許せる。本当は絶対的な力を考える物語としてもっときちんとつくれると思うのだが、冷戦の背景もなく、テロでもなく、個人・企業対決だった。
・『マイレージ、マイライフ』(up in the airという題名だったのか)は、町山智浩が指摘したように、空を飛ぶ死刑宣告人=リストラ通知業を主人公としているが、意表をついた角度から、職業とは何か、天職/転職とは何か、仕事と現実の人生などをテーマにした味わい深い映画になっていた。
・最後に「ウルフマン」はさすがに時間がなく、少し早送り。メイクがすごくても、怖くはないよなあ。噛むと伝染するという吸血的のモチーフが混ざっているような。そうそう、『ザ・コーヴ』で印象に残ったのは、ディズニーランダゼイション的なキャラ風景(しかも、イルカ)が地方に浸透していること。



ヴェネチア・ビエンナーレの授賞式。
・前回は大雨で小さな会場に変更され、コミッショナーでさえ、入れなかったが、今回は大丈夫でした。作品が壊れたのですが、なんと石上純也さんが金獅子賞。


1873「建築はどこまで小さく、あるいはどこまで大きくひろがっていくのだろうか?
Date: 2010-08-26 (Thu)

*台湾の謝宗哲さんと五十嵐の編による、日本と台湾のビエンナーレのコンペ落選案を紹介した本『LOST PARADISE失落的威尼斯紙上建築提案』(田園城市)が完成しました。日本語、中国語、英語を併記。一応、勝利案も入ってますが、メインは負けた、ありえたかもしれないアイデア。また美術側の落選案として、椹木野衣さんが企画したヤノベケンジ案と、榎忠案の展示プランも特別収録しています。
http://bit.ly/aPCOts

tepcoのアイデア・コンペ「ダメハウス」。
・審査員は青木淳西澤立衛永山祐子さんら。出題は五十嵐。ダメの解釈も重要ですが、最後は「すぐれた」建築のデザインの勝負です。詳細はこちら。まずは登録から。
http://www.kenchiku.co.jp/tepco_si2010/

*二日にわたる院試。
・今年から面接の時間を増大したにもかかわらず、ポートフォリオをもってこない学生が結構いて驚く。いつもよりも倍率が高く、学生には(そして先生にとっても)大変な年でした。来年からはせんだいスクールオブデザインも始り、院試がさらにもりあがるだろう。
・25日は、せんだいスクール・オブ・デザインの打ち合せ。諸手続きにおわれ、開講はちょっと遅れ、11月になりました。夜、新宿御苑前にて、秋山伸さんの事務所を訪れ、ホームページのデザイン打ち合せ。9月初旬には、フレッシュな講師陣も一部紹介できるサイトが立ち上がります。乞うご期待。

ギャラリー間デイヴィッド・アジャイ展へ。
・アフリカ生まれの建築家だが、そうしたアイデンティティのベタな表現よりも、光を媒介項に故郷と異国をつなぎ、現代的なデザインを行う。模型と写真による展示手法は、オーソドックス。なだけに、額装のパネルから写真がちょっと浮いていたのが気になった。
・市ヶ谷にて、鈴木博之横手義洋+五十嵐『近代建築史』の部分的なカラー版を新しく刊行するにあたり、打ち合せ。石上純也さん豊田市美術館の個展カタログの件で、隈千夏さんと打ち合せ。ヴェネチアの石上さんの現場では、やはりドラマが起こっているようだ。もうすぐ僕も自分の目で確かに行きます。



資生堂ギャラリーの石上純也展「建築はどこまで小さく、あるいはどこまで大きくひろがっていくのだろうか?」へ。
・これはすごい、すご過ぎる。事務所で概要はきいていたが、いわば石上くんの回顧展のミニチュア版が会場全体をおおう。自作を含む、ユートピア的な提案の建築模型が、これでもかと並ぶ。さまざまなアイデアがさまざまな手法の模型で美しく表現される。僕も石上展の修羅場を経験したので、これは相当大変だっただろうと、想像できる。スタッフの小玉さん、滝川寛明くん、阿部妙子さんほか、本当にみなさん、おつかれさまでした。これを成し遂げたことは、将来、誇れる仕事だと思います。
・今回、石上さんは来年Thames & Hudsonからだす作品集に収録予定のプロジェクトを紹介していますが、建築を飛びこえ、惑星、地形、気象までデザインの対象にしてしまう跳躍のすさまじさ。それを思いつきにとどめず、物理的なレベルでも可能かぎり検証する。別な意味でフラーを超える。今回の展示では、石上さんの想像力の射程がうかがえます。ここにあるものの、100倍以上はアイデアをだし続け、その一部が会場で見れる。それにしても、リーマンショックの影響でつぶれたパリのグランパレの会場計画、これは見たかったなあ(具体的な内容まで知ったのは、今回が初めて)。


1872青森にて、畑澤聖悟さんとトーク
Date: 2010-08-23 (Mon)

*愛知から情報発信する芸術批評誌『リア』24号のあいちトリエンナーレ特集にて、「都市で開催する国際展に期待すること」を寄稿しました。いつもよりも分厚く(でも、値段は高くない)、戦後名古屋の現代美術史入門まである、かなりオトクな号になっています。
・『週刊 読書人』8月6日に『総合的な都市論を試みる:三宅理一秋葉原は今』を、『日本経済新聞』8月8日に「歴史の深層から現在を思考:田中純イメージの自然史』の書評を寄稿しました。



*東北大学にてマスミ・メイサムさんの博士論文の最終審査。
・イランにおける工業化住宅や法整備に関する研究。1970年に工業化住宅を検討したとき、合理性だけではなく、伝統性に注目していたこと、20世紀の鉄骨フレームと煉瓦壁・屋根を組み合わせた構法が工業化に向かわなかったことなど興味深い。

*東京へ。
・建築系ラジオのスタッフ・ミーティングの打ち上げに顔をだす。今や全国に36人の規模となり、班分けも検討されるという。なんだか、AKBみたいだぞ。脱中心的にネットワークのうねりを起す、かつてないタイプの建築メディアとして、成長しつつある。
細田雅春さんの自邸にて、連続対談の三日目。世田谷の住宅地。斜めの床としての大階段を軸にストーンと筒状に空間が抜けるシンプルな細長い平面ながら、熱や光を細かく操作する大人の断面構成。母のために後から増築された居室も、母屋と平行に走り、互いに良好な中庭をつくる。住宅について討議。
畑澤聖悟さん作の高校演劇「ともことサマーキャンプ」。「河童」の続編のような感じで、いじめを扱うのだが、今度は被害者の生徒が自殺した後、加害者の子供とその親、教師らのふるまいに焦点をあてる。それでも、生きていくことになったものたちの物語。一人二役で、子供と親を演じる手法が興味深い。

*空路で青森へ。アトリエ・グリーンパークにて、演劇鑑賞と番組収録。
・中学生版「ともことサマーキャンプ」観劇終了。すでに型があることと無関係ではないだろうが、数日のワークショップで、これだけの成果をあげるとは。感心。その後、NHKスタッフと台本打ち合わせ。
・大学生や社会人による「ともことサマーキャンプ」も見る。やはり、言葉や動作の間のとり方、セリフのメリハリがうまい。個別の俳優のキャラも立っている。イジメ問題を扱うのだが、戦争の責任問題食品偽装にも通じる普遍性をもつ。
・NHK東北未来人の第三回の収録。ゲストは畑澤聖悟さん。司会は五十嵐と山形局のアナウンサー・寺門亜衣子。会場は、ワークショップの発表会が終わった後の演劇スペース。演劇人は言語パフォーマンス能力が高いのと、劇作家として言葉を使う人なので、トークがやりやすい。放映は9/24の夜8時です。

青森県立美術館の「ロボットと美術」展へ。ロボットという視点から近代美術の身体表現を再読し、現代アートへの影響を測定する一方、サブカルチャーを見渡しつつ、プラモデルのカバーイラストなどを総覧。最後は現在のロボット開発の最前線。初音ミクも登場。楽しめる展示でした。東京巡回はなさそう。
・前回の訪問時、閉鎖していた青森県立美術館の八角堂。今回は見学。奈良さんの数枚の絵画のために、この構築物があるとは!常設では上田信のミリタリー・イラストや成田亨の怪獣デザインの美学が、ロボット展と連動して鑑賞できる。工藤哲巳の回顧展は作品の軌跡を追う。いずれも青森出身の作家たち。

宮城県美術館の「新しい美術の系譜」展を見る。国立国際美術館のコレクションを持ってきているので、ほとんど見たものだが、20世紀の流れをおさえるのによい。教科書的な絵画史だが、ベッヒャー以後の現代写真のパートもある。なるほど、パンフレットのヴィジュアルはロレッタ・ラックスの少女写真。


1871演劇とか映画とか、展覧会とか
Date: 2010-08-18 (Wed)

佐藤総合計画細田雅春さんとの連続対談で、両国の本社にうかがう。
・95年に社内コンペを経て実現したビルは、L字で後退し、空けた角地に大樹と彫刻を置く。水平方向、垂直方向にも、透明感のあふれる空間。視線も空気も行き交う。初日は現代の組織論、建築はどこに向かうのか、などを討議。
・連続対談二日目。今日は国内最大の作品である東京ビックサイトを見学してから都市について語る。当初、持ち上がった会議場はもっと高い位置を想定しており、全体としてキューブ的な量塊を意図していたそう。コミケの会場でもあり、これはすでにビエンナーレでも平面が紹介されている。

*次回のNHK東北未来人の収録でお会いする、畑澤聖悟さんが作・演出を担当した青森中央高校の『修学旅行』を見る。演劇はそんなに詳しくないのですが、これはレベルが高いなあ。沖縄の夜、枕投げを行う女子高生に、戦争と平和、そして笑いをかぶせている。高校演劇大会の最優秀賞もうなづける。
・畑澤聖悟の作による青森中央高校の『河童』も見る。カフカの『変身』のように、突如河童になった女子生徒がいる教室が舞台。差別やいじめがテーマなだけに、コミカルな笑いのあった『修学旅行』よりはどうしても重い。が、これは不条理ものというより、教室の空気が「河童」をつくるのだ。



*『借りぐらしのアリエッティ』を見る。やはり人に見られてはいけない『トイ・ストーリー3』と公開時期がかぶったのが興味深い。対比的。ピクサーが完璧な物語をめざしたのに対し、ジブリは絵だ。のっけから色彩の織物に没頭し、絵が動くことの悦びに最後まで浸れる、幸福な映像体験。地味だが、傑作。
東京都現代美術館で、見たばかりの『借りぐらしのアリテッティ』展。種田陽平さんの設計で、劇中の空間を「再現」。テーマパーク的な仕上がりに、これで壊すのはもったいないかも。縮小のスケールは必ずしも厳密ではなく、いろいろ操作している。種田さんの映画美術パートでは、原画や模型を楽しめる。
・同時開催の「こどものにわ」展。夏は子供がターゲットです。大巻伸嗣さんの白いフェルト床の作品は過去にも見てますが、今回の広さで天井もコントロールしたのは初めてだったので、良かった。おうえんやまの遠藤幹子さんは建築家からの参加。こういう子供向けの空間をつくれるのだと知る。

*清澄白河のヒロミヨシイでの藤村龍至企画の展覧会。昨年よりも面積増で全体を使用、同世代のまとまりを確認、個別の展示物について、建築として、あるいはアートとしてのおもしろさを考えられるという点などは評価できる。ただ、「超都市」の全体テーマを展示物だけで伝えるのには、もっと工夫が必要。
小山登美夫ギャラリー福居伸宏「アステリズム」展。一見、均質な都市風景の写真だが(基本的に夜)、凡庸なようでいて、どこかに引っかかりがある作品群。これは現実のものではなく、CGで描いたのでないか?と思うような不思議なものも。それが見るものを不安にさせ、不気味な感じを抱かせる。

*ドキュメンタリーの映画監督、酒井充子さんから、霞ヶ関ビルや台北駅前の三越ビルに関与した、台湾人の建築家・郭茂林さんをベースに、日台の建築事情についていろいろときかれる。郭さんは岸田日出刀吉武さんにも師事し、人的ネットワークを築き、戦後日本の大型プロジェクトに関わった。


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