from Jacques Ta2

378:critical engineering-ism
Date: 2008-01-28 (lundi)

中村拓志さんの最新作、選書家の幅允孝さんと共同した神山町の本屋Shibuya Publishingのオープンハウスへ。細長い空間に長いテーブル。ガラスで空間が二分され、奥で編集者が本をつくっている様子も見られるという。本は40年代から00年代まで7つのディケードの空気を示す本が集められていて、本棚のデザインも時代に合わせて多様。つくり手の顔を見ることのできる新しい本屋になる予感がします。

Live Round About Journalの後半戦「続・愛と力の関係」へ。相変わらず立ち見の人が出る盛り上がり。全部は聞けませんでしたが、後で完成したフリーペーパーを見て、最年少のg86(86年生まれ世代)が、自分たちが受け取る建築の情報は常に加工された2次情報、3次情報であることに違和感を持っていて、直接様々な分野の人にインタビューをしたという話は興味深かったです。日本のメディアは情報を十分に早く伝えていると思うけれども、もちろん透明なメディアはなく、まず自分たちの情報環境から再考しようという方法論です。フィルタを超えて不可視のデータベースを探索する旅に出ているわけで、ある意味これは今回紹介されている「批判的工学主義」の立場に近い。

釜萢誠司さん、針谷將史さんは郊外など環境の精度を読み込むことで、そこに微妙な違和感をもたらす可能性を説明、伊藤暁さんは設計条件をフラットに飲み込み、それらを満たすアルゴリズムを人的に見つけて建築を自律させることを提示、吉村靖孝さんは根本的に建築が不要だという動物化した世界において、一回性と量産性を重ねあわせ結びつけるような活動を目指す。平田晃久さんは、中に入っていかないと分からないような、ひだ的な空間的地形に生命を吹き込んで建築化することで、人間の本能と知的形態を結びつける。

藤村龍至さん、柄沢祐輔さん、南後由和さんの提唱する「批判的工学主義」は、情報化社会において空間を規制する不可視の諸条件を、再構成しようとする。アルゴリズムや、デザインの方法論とどう結びつけていくのかが、終始議論の焦点の一つだったと思います。言語的理論構築をする人が多いといえないなか、あえて「主義」を打ちたて皆を議論に巻き込む3人の行動力は素晴らしい。モデレーターのドミニク・チェンさんには、口語の日本語でなかなか表現しきれないようなロジカルな内容をスピーディに展開していたところに、日本語フランス語も母国語であるという特殊性を感じました。

ところで、前回の討論で「愛」と「力」といったような二項の対立が浮き彫りになりましたが、今回はむしろそれを結びつける方向へと話が発展していました。中村さんや平田さんの話に顕著で、中村拓志さんは、グローバルな環境問題のような危機に対して、小さな物語の連帯から立ち向かうことを示しつつ、建築のオープンソース化については、建築家としての立場を示す。平田さんは、工学主義的、即物的な力にも、フラットな郊外だけではなく、生命体としての都市をつくる可能性があるとポジティブな反応。様々な動きと可能性が感じられたとても意義深いイベントでした。今後の展開も楽しみです。懇親会で久々に敏ちゃんこと佐藤敏宏さんに会いました。
http://www5c.biglobe.ne.jp/~fullchin/p2/p-2.htm

夜行で金沢へ。ある出来事が。

永山祐子さんのオゾンの展覧会「届かない場所」、明日29日までだそうです。


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